江東区の桜の名所・仙台堀川(せんだいぼりがわ)に架かる、海辺橋(うみべはし)です。上を走るのは深川エリアを南北につらぬく大動脈・清澄通り。この橋から北は清澄白河、南は門前仲町です。
橋のたもとの採茶庵(ここから奥の細道の旅へと旅立ちました)にはかなり、かなりリアルな松尾芭蕉さんがぬーんと鎮座されてます。
海辺橋上からの風景
少し先で緩やかに左へとカーブしています。奥に少し見えるのは、木更木橋(きさらぎばし)です。とてもいい名前ですよね。
いつでも、ゆったりとした仙台堀川の眺めに癒されます。
ですが、ここからの眺めが本領を発揮するのは、何といっても桜の季節。川沿いの桜並木からにせり出した枝がピンクに染まり、圧倒的な日本の春の風景が現れます。門前仲町のすぐ南を流れる大横川の桜と並ぶ、深川の春を代表する絶景です。
隣に見えるのは清川橋です。
川沿いには遊歩道が整備されているので、ずぐ脇の伊勢屋で買ったお団子でも食べながら、のんびりおさんぽを楽しみましょう。伊勢屋は和菓子屋さんのような雰囲気ですが、おにぎりやちょっとしたお弁当(カツ丼とかあんかけ焼きそばとかいろいろ)も売っています。
近所にはブルーボトルやアライズコーヒーなど、清澄白河のオシャレなCaféもすぐ近くですよ。
橋のすぐ北にある深川の名店、伊勢屋。おにぎりもあります
アライズコーヒーエンタングル
海辺橋がある風景
橋からの眺めは素晴らしいのですが、海辺橋自体はとてもシンプルで地味な橋です。
交通量の多い清澄通りを渡すという重要なお役目を着実に果たすことに特化した、質実剛健な橋と言えるかもしれません。
ちなみに建てられたのは1929年(昭和4年)、もうすぐ100歳ですね!
海辺橋にまつわるあれこれ
海辺橋という名前ですが、決して海に近いわけではありません。
何よりもまず、海辺橋の下を流れる仙台堀川がたどり着く先は隅田川であり、直接海に流れていこんでいるわけではないのです。
なぜ“海辺”という名前が付けられたのか、調べてみると面白いかもしれませんね。そう言えば江東区には、まったく海に接していないのに「海辺」という住所がついて言える土地もありますね。清洲橋通りのずっと東側です。
そしてこの橋を語る時に避けて通れないのが、橋の南詰すぐのところにある採茶庵と松尾芭蕉です。
芭蕉はこの採茶庵から、「おくのほそ道(奥の細道)」の旅に出発したと伝わっています。採茶庵が正確にこの場所にあったということではないようですが、この付近のどこかにあったということです。
小屋の濡縁に腰かけた芭蕉像はとても精巧で、今にもスッと動き出して、はるか長い奥州への旅に出かけていきそうです。
リアルすぎて、だいたい子供は泣きます。笑
採茶庵の脇には、仙台堀川沿いの芭蕉俳句の散歩道の入口があります。
散歩道中、等間隔に建てられた木製看板には、芭蕉が「おくのほそ道」の旅で詠んだ名句の数々が。
おしまい
景色 ★★★★★ ※春以外は★★★
容姿 ★
価値 ★★★
芭蕉と桜という、情緒豊かな日本の宝と結びつきの深い海辺橋。誰に聞いても「名前なんだっけ?」となってしまうのが少し残念ですが、この端周辺の風景は、今も昔も愛される続ける深川のシンボルのひとつです。今年も少しずつ、桜が咲き始めましたよ。