1962年10月に公開された「007」シリーズの映画化第1作! 「007 ドクター・ノオ(ダブルオーセブン ドクター・ノオ)」を紹介します。主演はショーン・コネリー。つまりは初代ジェームズ・ボンドです。監督はテレンス・ヤング、ボンドガールはウルスラ・アンドレス。イギリスM16のエリート諜報員「007」が、アメリカの危機を救うべくジャマイカで大活躍。残念ながらAmazon(prime video)は有料、レンタル\400(2020年3月時点)です。もちろんあらすじは3行で!
「007ドクター・ノオ」あらすじを3行で
「007」シリーズの記念すべき第1作、上映時間105分の名作を、3行で要約します。
2 謎の島に巨悪の巣窟があることを突き止める
3 島で悪の親玉ドクター・ノオを倒す(肉弾戦)
以上です。笑
ネタバレです |007は殺しの番号
イギリス情報局M16の諜報員ジョン・ストラングウェイが、秘書と共にジャマイカで暗殺された。その事態を受け、M16長官のM(バーナード・リー)は事件の調査をさせるべく、現地に007ジェームズ・ボンドを派遣しました。
キングストン空港に到着したジェームズ・ボンドは、早速あれやこれやと命を狙われますが、持ち前の危機察知能力と腕っぷしと男の色気を如何なく発揮しながら事件の解明を進めていきます。そして、ストラングウェイの協力者であったクォレル、CIAのエージェントであるフェリックス・ライターという協力者を得ながら、謎の核心に近づいていきます。
ストラングウェイの友人であったデント教授が怪しいと見当をつけたボンドは、デント教授にアプローチしていきます。ボンドに“ほぼ”身バレしたデント教授はあわてて親玉ドクター・ノオ(ジョセフ・ワイズマン)に泣きつきますが、すべて承知していたドクター・ノオは「ボンド必殺」の絶対命令を下し、デント教授を突き放します。後がないデント教授は、ボンドを殺害すべく奔走しますが、逆にボンドの罠にはまり殺されてしまいます。なんだか哀れなデント教授…
もともとストラングウェイは、クラブ・キーと呼ばれる謎の島の秘密に近づいたことで殺害されました。そしてCIAのフェリックス・ライターは、その島の付近からアメリカの宇宙計画を妨害する謎の信号が発信されていることを突き止めていました。「ドラゴン」が住み、近づくものは誰も帰ってくることができないという謎の島クラブ・キーが悪の巣窟だと確信したボンドは、いよいよクォレルと共に島に乗り込みます。
クラブ・キーに手漕ぎボートで乗り込んだボンドは、早朝の海岸で美しいハニー・ライダー、初代ボンドガールと出会います。打倒ドクター・ノオという同じ目的を持つ二人は行動を共にし島の奥へと進んでいきますが、「ドラゴン」の正体である強力な火炎放射器を装備した小型戦車に追い詰められて捕まってしまいます。クォレルはここでサクッと焼死(哀れ…)。
捉えられたボンドとハニーは慇懃にもてなされますが、もちろんすべて悪の組織の管轄下。恐怖の晩餐に招かれたボンドは組織の親玉ドクター・ノオに初対面し、彼が国際的なテロ組織であるスペクターの一員であることが判明します。さらにドクター・ノオは、アメリカの宇宙ロケット打ち上げをクラブ・キーからの電波妨害で阻止するテロ計画を披露するのです。
その後ボンドはまた牢屋に戻されますが、空調のダクトからなんとか(?)脱出し、レーザー妨害の阻止を果たします。ラスト、ボンドとドクター・ノオは取っ組み合い(笑)になりますが、腕力で負けるドクター・ノオはあえなく沸騰した放射能プールへ落下し、死亡。崩壊していく秘密基地の牢屋からハニーを救出したボンドはボートを奪取し、からくも大爆発の直前に島を脱出して一見落着。
波間に漂うボートの救助に来たフェリックス・ライター達が目にしたのは、ボートの上で繰り広げられるボンドとハニーのラブシーン❤
ハッピーエンドでおしまいです。
「007ドクター・ノオ」の見どころは?
その後半世紀以上も続く超人気シリーズの第1作。それだけでも観るべき価値があると言えるのですが、せっかくなので注目すべきシーンや、個人的に面白かった場面を紹介します。
ちなみに「007ドクター・ノオ」の製作費は約100万ドル。興行収入は5,900万ドルとのことですので、大大大ヒットですよね。1962年の世界興行成績でも「アラビアのロレンス」に次いで、第2位に食い込んでいます。公開当時、日本ではあまり話題にならなかったようですが。笑
注目すべき名シーン
冒頭すぐに出てくる“The neme is Bond, James Bond”です。
「007」シリーズの面白さは、製作陣や出演者が変わっても登場する、恒例のセリフや過去作品へのオマージュですが、このセリフはまさにその最たるもの。毎作品、このセリフが出てくるとニヤッとしてしまいます。新作をリアルタイムで観るようになってからは、このセリフを映画館で聞いた瞬間に脳内から何かがドバッと出る感覚すらあります。
そんなシリーズの最重要セリフの歴史的1発目がこのシーンなんですよね。
個人的に好きな場面
冒頭の盲人3人組がストラングウェイを暗殺するシーン。
マザーグース、Three Blind Mice(3匹の盲目ネズミ)をアレンジした愉快なジャマイカンミュージックが流れています。
もともとのマザーグースの歌詞を知っていると、これから起きそうなヤバい事態に勘づくのかもしれません。昔ながらの童謡にありがちな、猟奇的な歌詞ですからね。笑
「Three Blind Mice」
Three blind mice. Three blind mice.
See how they run. See how they run.
They all ran after the farmer’s wife,
Who cut off their tails with a carving knife,
Did you ever see such a sight in your life,
As three blind mice.
原作がイギリスの小説ならではのこの場面、とてもおもしろいですよね。
起こっていることは機関銃掃射による乱暴な殺害ですが、どこか牧歌的。観る者を引き付ける印象深い導入シーンになっています。
その他、重厚長大な超メジャーなハリウッド大作となっている現代の「007」シリーズとは比べるべくもない、数ある雑でテキトーでおバカなシーンも、昔の「007」シリーズを観る時の楽しみです。笑
「007 ドクター・ノオ」では、特にラストの20分の展開が妙に淡泊で愉快でした。
余裕かまして招き入れた秘密基地でボンドに好き放題やられて(余裕の脱出…)、最後はよくわからない流れでもみ合いになって放射線プールで溺死(焼死?)。ドクター・ノオ、その恐ろしさもよくわからないうちにアッサリ死んじゃいました。もうちょっと粘ってもよかった気がするけれど(「007 スペクター」のフランツ・オーベルハウザーのしぶとさは半端じゃない…)、無駄に引き延ばさない起承転結の直線的なストーリー展開は、スカッとしていてよいものです。
その他のズッコケシーン
- 海岸偵察部隊の雑な巡回(陸からくればよかったのでは…)
- 伝説の怪獣「ドラゴン」のおバカな正体(昔はすごかった?)
- 怪しすぎるコーヒーをサクッと飲んで昏倒するボンド&ガール(おいおい…)
- 独房からの余裕すぎる脱出(へいへい、ドクター…)
「007ドクター・ノオ」キャスト・スタッフについて
出演陣と製作陣を、ダイジェストで少し詳しく紹介します。
主演:ショーン・コネリー |栄えある初代ジェームズ・ボンド
眉毛と胸毛が印象的な、初代ジェームス・ボンド。
奇妙なほどに冷静沈着な立ち振る舞いに、何度「お前もうちょっと慌てろよ…」と突っ込んだかわかりませんが、このジェームズ・ボンドが「007」シリーズの世界的人気の立役者と言っても過言ではありません。常にニヤけたその口元は、すべての男の憧れです(違うか)。このキャラクターの完全アメリカ人バージョンがスティーブン・セガールですね。
ちなみにショーン・コネリーの出身はスコットランド、1930年生まれ。
「オリエント急行殺人事件」「薔薇の名前」「アベンジャーズ」「小説家を見つけたら」など印象的な作品に多数出演し、1987年公開の「アンタッチャブル」ではアカデミー賞(助演男優賞)まで受賞していますが、いまだにショーン・コネリーと言えば“初代007”という印象が強いです。
ショーン・コネリーがジェームズ・ボンドを務めた「007」シリーズ
- 第1作「007 ドクター・ノオ」
- 第2作「007 ロシアより愛をこめて」
- 第3作「007 ゴールドフィンガー」
- 第4作「007 サンダーボール作戦」
- 第5作「007は二度死ぬ」
- 第7作「007 ダイヤモンドは永遠に」
※第6作「女王陛下の007」はジョージ・レーゼンビー(1作のみ)
出演:ウルスラ・アンドレス |栄えある初代ボンドガール
正直「007 ドクター・ノオ」以外の出演作を知らなかったのですが、スイス出身の初代ボンドガールが海からあがってくる場面は、今なお印象的なボンドガールの登場シーンとして語り継がれています。
「007 ドクター・ノオ」出演後のウルスラ・アンドレスは、時代の代表するセックス・シンボルとして華やかなキャリア(仕事&プライベート)を送りました。
浮名を流した男性陣も豪華そのもの、007その人であるショーン・コネリーをはじめ、マーロン・ブランド、ジェームズ・ディーン、デニス・ホッパー、などなど。さぞやフェロモンだだ漏れだったのでしょう。笑
ちなみに「007 カジノ・ロワイヤル」(1967)に出演していますが、これは本家「007」シリーズではないコメディ映画。2006年公開の本家「007 カジノ・ロワイヤル」とはまったくの別物ですのでご注意を。笑
監督:テレンス・ヤング |「007」シリーズの黎明期を支えた巨匠
大物感あふれる名前のイギリス人映画監督で、すでに亡くなっています(1994年没)。
代表作の「007」シリーズでは、最初期の3作品で監督を務めています。ショーン・コネリーと同様に、「007」シリーズの立役者ですね。
その他の監督作品にはどちらのオードリー・ヘプバーンが主演を務めた「暗くなるまでまって」「華麗なる相続人」や、チャールズ・ブロンソンが主役を務めた「夜の訪問者」があります。
テレンス・ヤングがジェームズ・ボンドを務めた「007」シリーズ
- 第1作「007 ドクター・ノオ」
- 第2作「007 ロシアより愛をこめて」
- 第4作「007 サンダーボール作戦」
※第3作「007 ゴールドフィンガー」はガイ・ハミルトン
「007 ドクター・ノオ」の次に観たい作品
「007 ロシアより愛をこめて」
公開日は1963年10月、「007 ドクター・ノオ」のちょうど1年後です。
その後につづく数々の「007」ならではの“お約束”が始まったのは、むしろこの第2作から。なによりも魅力的なのはダニエラ・ビアンキ、2代目ボンドガールです。
歴代ボンドガールと比べると露出度は極端に低いながら、その美しさと色気は歴代最強レベル…
と言いつつ、2020年11月公開「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」のレア・セドゥとアナ・デ・アルマスも、今の時点で歴代最強レベルで大好きです。笑
アナ・デ・アルマスは「ブレードランナー 2049」
レア・セドゥにいたっては「美しい人」「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」「マリー・アントワネットに別れをつげて」「グランド・ブタペスト・ホテル」「美女と野獣」、さらには前作「007 スペクター」まで、とにかくどの出演作でも最高。
ただただ“好み”…
おしまい
「007 ドクター・ノオ」。作品そのものもちろんですが、歴史的な価値を含めると1回観ただけでは味わいきれない名作です。あらすじを知っているだけではわからない部分に魅力が隠れているともいえるので、ぜひ実際に観賞するべきと思います。ラストの緊張感のない戦闘シーンと思い出しながら、公開が半年後にせまった「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」を鑑賞したいと思います。楽しみ楽しみ。
原題:007 Dr.No/製作国:イギリス/本公開:1962年10月5日/日本公開:1963年6月1日/監督:テレンス・リー